かすてらすねお。

見聞録的ななにか。

TG氏炎上と大学の名誉

はじめに

同じ大学に通うTG氏Twitterで炎上しました。

これに端を発する一連の件について、個人的に気になった点を整理します。

書いているうちに長くなったので、複数記事に分けて投稿することにしました。

今回は「大学の名誉」のテーマでお送りします。

読む前に

ボクがこの件の非当事者であること、発端となった場に直接居合わせていないこと、事実関係のはっきりしないことなどから、コメントを差し控える場合もありますので、ご了承下さい。

また、事実関係について情報を持っていても、信憑性が低い場合は記事へのコメントを控えて下さい。代わりに、@suneo3476DocへのTwitter上のリプライという形で受け付けます。感想も同様です。

理由は、話の土台になる情報があっちへこっちへ行ったりすると、その上に成立していたはずの話が崩壊してしまうからです。その場合には、その情報を含めた上で新たな記事として書き直すという形式が、一個一個の議論の秩序を保つためには相応しいと考えています。

もちろん、それ以外の議論に関係する意見は歓迎します。

読者の方には、以上を踏まえた上で読んで頂ければ誠に幸いです。

 

 大学・学部の名誉は本当に傷ついたのか?

さて、本件がネット上のメディアおよび読者を中心に取り上げられたことによって、大学・学部の名誉は傷ついたのでしょうか。

「組織の名誉が傷ついた」という状態について、社会に属する不特定多数の個人が抱く組織へのイメージによって、組織のイメージが集合的に構成されるという集団社会学的なアプローチで考えてみます。すると、社会における組織へのイメージとは「不特定多数による組織の地位や信頼のイメージの集合」であり、「組織の名誉が傷ついた」ことが「不特定多数の個人が抱く組織への地位や信頼といったイメージが悪くなる」状態であると考えられます。

今回のように不特定多数の人々が発言を閲覧できるTwitter上で発言が拡散されたケースでは、組織の名誉が傷ついた可能性があると考えられます。Yahoo! Japan のトップ等にも一時この件を表すキーワードが掲載されたと聞く(筆者は観測していないので参考情報)ので、尚更だと思います。

(このあたりの考え方は「社会常識」としてバッサリと切られがちですが、そこに残る一抹のもやもや感を払拭するために書きました)

しかし、ボクにはなんだか淡白な結論に思えてしまうのです。そこで、名誉が傷ついた過程に注目して考えてみることで、結論を再考してみることにします。

炎上とメディア、メディア的存在としての読者の関係

今回の炎上が広がった一因として、TG氏のツイートを取り上げたネット上のメディアの存在が指摘できます。

「いや、むしろ良い問題提起をしていた」というツッコミをいただく。

 「悪質なメディアの定義とはなにか」とツッコミをいただく。

炎上の拡大を避けるために、悪質なネットメディアを排斥することが重要と考えました。しかし、今回のようにTwitterという発言公開型のSNS上で炎上が発生した場合には、ネット上のメディアだけでなく、その読者も考慮する必要があります。

Twitter上における読者は必然的にメディアとして振る舞うメディア的存在(Intermediary Reader*1)にならざるを得ないわけです。 集合知Wisdom of Crowds)が悪い形で発揮された状態で、いわば集合愚(Fool of Crowds*2)とでもいうべき現象でしょう。

*3

炎上は、こうしたネットメディアやその読者の集合愚的な作用によって助長されると考えられます。このようなメディアや読者を排斥、もしくは炎上を助長しないネット・リテラシー的な啓蒙によって、炎上を少しでも抑えることが可能になります。これはあんまり現実的な考え方ではないことも事実ですが、無自覚に炎上に加担することの危うさについて自覚することの重要性は変わらないのではないか、というのが個人的な意見です。

まとめ

結果について考察するとき、その過程を考慮に入れる必要があります。組織の名誉が傷ついたという結果を見て、「コラーッ」と斧を振りかざして発言者をとっちめるのは、特に学術機関である大学として相応しい態度でしょうか。大学の動きやTG氏の処遇などの情報を入手していないため、現時点ではなんとも言えませんが、大学側には総合的な分析・議論を踏まえた懸命な判断を期待しています。

*1:この英熟語は今思いつきました

*2:この英熟語は今思いつきました2

*3:ちなみに、集合知が良い形で作用する例として、Wikipedia上の記事が編集者の議論によって洗練されていくことや、ニコニコ動画上の動画への活発なタグ付けによって全体的な検索性能が向上することが挙げられます。これらの例では、集合知がユーザのUX(ユーザ体験)向上に役立っています。