かすてらすねお。

見聞録的ななにか。

珈琲研 ハンドドリップ講習会 座学テキスト

 随時更新します。

ソースは自分(に色々教えてくださった人達)

 

0.もくじ

1.豆の準備

1−a 焙煎
1−b 挽き(ひ-き)

2.ハンドドリップ

2−a 概要
2−b 他の抽出方式
2−c ハンドドリップに何を求めるのか

3.淹れる準備と器具

3−a フィルターとドリッパー
3−b 豆の量
3−c サーバー
3−d ポットとお湯の温度

4.ドリップ作業

4−a 蒸らす
4−b 淹れる
4−c  淹れ終わり

5.コーヒーのお供

5−a 砂糖とコーヒーフレッシュ
5−b お菓子

おわりに

 

1.豆の準備

1−a 焙煎
1−b 挽き(ひ-き)
 

コーヒーは、コーヒー豆(たんに「豆」とも)を焙煎・粉末状にして、お湯または水で成分を抽出して作る飲み物です。このコーヒー豆は「コーヒーノキ」に実る種子であり、ふつう赤く熟します。

ã³ã¼ãã¼ã®å®ã®ã¤ã©ã¹ã

1−a 焙煎

収穫後の豆は「生豆(きまめ)」と呼ばれ、黄色〜黄緑色をしています。これに加熱処理(=焙煎、ロースト)を加えたものが「焙煎豆」であり、私達の見慣れた褐色のコーヒー豆です。

生豆 f:id:suneo3476z_tn:20180218135924j:plain 焙煎豆 f:id:suneo3476z_tn:20180218143607j:plain

 

焙煎するとコーヒーの風味が引き出されます。焙煎の程度によって「浅煎り」(あさいり)「中煎り」(ちゅういり)「深煎り」(ふかいり)と言います。

f:id:suneo3476z_tn:20190528232528p:plainf:id:suneo3476z_tn:20190528232547p:plainf:id:suneo3476z_tn:20190528232607p:plain

大抵のコーヒーショップでは焙煎済みの豆が売られていますが、購入後に店内の焙煎機械でその場で焙煎するお店もあります。自前でやる人は珍しいと思います。

 

1−b 挽き(ひ-き)

コーヒーを抽出するためには、焙煎豆を粉末状にする作業が必要で、これを「挽き」と言います。これも大抵のお店でやってくれます。一般に、粗いほどあっさりとした味に、細かいほど濃い味になります。

コーヒーを挽くための手動・電動の機械はミル、またはグラインダーと呼びます。電動のものは、挽きの粗さを一定に調節できるので楽です。不安ならお店に任せましょう。

 

ここまで見てきたように、コーヒーを作るには焙煎して挽いた豆を用います。挽きは自前の道具が無ければお店にお願いしましょう。

ここでもう一度あらためて確認すると、コーヒーは焙煎して挽いた豆をお湯または水で成分を抽出して作る飲み物です。

この抽出方式のうち最もメジャーなのがハンドドリップです。

 

2.ハンドドリップ

2−a 概要
2−b 他の抽出方式
2−c ハンドドリップに何を求めるのか

 

2−a 概要

市販の器具でできる最もメジャーな抽出方式がハンドドリップです。ハンドドリップでは、下のイラストのように器具と豆をセットして、直接手で持ったポットからお湯を注ぎ、抽出したコーヒーを下に落として溜めます。

f:id:suneo3476z_tn:20190528225424p:plain

「ハンド」は手でポットを持って操作するのが主な作業であることや、他の抽出方式に比べて手軽にできるハンディさなどから来ているのではないかと自分は推測しています。

「ドリップ」とは「しずく」を意味する英語(drip)で、抽出して下へぽたぽた落ちる様子をとらえているようです。

言葉の使い勝手がいいのでコーヒーを淹れることをつい「ドリップする」と呼んでしまいます。本来は誤用ですが(こうやって和製英語が生まれるんですね!)。なので、自分はコーヒーを淹れたり作ったりすることを「ドリップする」と呼んでいます。

 

2−b 他の抽出方式

ハンドドリップ以外の抽出方式には、サイフォン、フレンチプレス、マキネッタなどの器具を使うものがあり、どれを用いてもコーヒーが作れますが、器具が比較的高価であったり、マイナーな方式であったりします。

  f:id:suneo3476z_tn:20190528225835p:plain

もしかするとエスプレッソはコーヒーと別物のように思われているかもしれませんが、実はエスプレッソも抽出方式のひとつです。なので、エスプレッソという名前の飲み物もコーヒーのひとつです。

お店だとよくエスプレッソ専用マシンがあり、金属製フィルターにセットした豆を熱湯とともに加圧して作ります。細かく挽いた深煎りの豆を使うため、通常のコーヒーよりも濃厚な苦味が特徴です。

ちなみに、珈琲研には備品としてフレンチプレスとエスプレッソマシンがあります。 

 

2−c ハンドドリップに何を求めるのか

抽出方式の以前に違うタイプのコーヒーとして、インスタントコーヒーやコーヒーメーカーによるコーヒー、最近ではコンビニコーヒーもありますね。どれが美味しいかといえば好みの問題としか言いようがありませんが、ハンドドリップと明確に差があるとすれば、鮮度を保った豆を使って作れるかどうかだと思います。

       

少々、長話をします。

最近ではコンビニでもその場で挽いた豆を使ったコーヒーが手軽に手に入るようになりました。しかし、サービスエリアなどにはわりと昔から同じタイプの自販機が置いてありましたので、高速道路を使うドライバーにとっては珍しいものではなかったかもしれません。それでも、やはり近年はコンビニコーヒーの台頭によってポピュラーで身近なものになった感があります。

自分がアルバイトしている飲食サービス業の店舗には、サントリーがドリンクバー向けに提供しているコーヒーサーバーがあって、豆が少なくなるたびに密閉パックから補充しています。特に、この補充器は利用客に見えるように露出していて透明なので中に入っている豆が見えます。これによって「本物の豆を使って作っています」という利用客へのアピールを狙っているようです。

一方で、補充式コーヒーサーバーには欠点があって、補充してすぐその豆を使うわけではないので、時間が経っている場合味が落ちる可能性があるのです。豆は、空気に触れると酸化が始まり、時間が経てば経つほど品質が劣化します。焙煎後の豆が密閉された袋に入っているのはこのためです。

コンビニの場合、これを利用率でカバーしています。短時間に多く利用されれば豆は早く無くなりますから、補充間隔も早くなります。したがって、美味しいコンビニコーヒーが飲みたければ、駅前や繁華街など利用客の多い場所で利用するのがおすすめです。

好きな飲み物を好きな時に飲めるのはすごいですよね。気づいたら書きすぎたのでここでやめます。要するに、新鮮な豆を楽しめるのがハンドドリップの醍醐味です。ただし、豆の密閉管理に気を配ってくださいね。

 

3.淹れる準備と器具

3−a フィルターとドリッパー
3−b 豆の量
3−c サーバー
3−d ポットとお湯の温度

 

3−a フィルターとドリッパー

まず、「フィルター」という紙製の濾(ろ)紙を「ドリッパー」という底に穴の空いたカップ型の器具にセットして、そこに豆を入れます。そして粉の面が平らになるようにフィルターをゆすります。ドリッパーの底にはが空いていて、抽出したコーヒーがそこから落ちます。

下のイラストで言うと、左上の白いカップ状のものがドリッパーで、茶色いのがフィルターで、そこに豆が入ります。また、フィルターとドリッパーには形状が台形のものと円錐のものがあります。

フィルターは端を綴じて作られていて、これを一方に折って使います。円錐は1辺、台形は2辺が綴じられていて、台形については2辺をそれぞれ互い違いの向きに折ります。

f:id:suneo3476z_tn:20190528225424p:plain

形状による違いとしては、台形は2つ穴と3つ穴のものが、円錐は1つ穴のものがあり、コーヒーの落ちる量と速度が変わるので味の濃さが変わります。また、メーカーによって内側の溝(リブと言います)の形も異なります。

とはいえ最初は何も分からないと思いますので、台形と円錐のフィルターとドリッパーを両方買って交互に使って比べてみるところから始めるのをおすすめします。どれを使ってもらってもコーヒーでなくなるわけではないので、自分の器具が欲しくて選ぶ際にはあまり悩まなくてよいでしょう。

ドリッパーは透明色の場合だと使い込むうちにだんだんコーヒーの色がこびりつくのですが、コーヒーの風味を蓄積しているような感じがするので、自分は完璧に色が落ちるほど洗おうとはしません。

 

3−b 豆の量

どんな豆でも1杯=10gが基本です。しかし、10gだとドリップするのには物理的に不都合が大きいため、一度に最低2〜3杯分=20〜30g使うのが普通です。一杯淹れたらおかわりしたくなるかもしれませんし、カフェインが得意でない限り多い分には困らないでしょう。

逆に一度に作れる最高の量ですが、これはフィルターとドリッパーのサイズに依存します。市販の通常サイズのなら5〜6人程度でしょうけど、専門店に行けば大きいものが売っています。

 

3−c サーバー

ドリッパーから落ちるコーヒーを溜めるために、下のイラストでは左下の「サーバー」という耐熱容器を使っていますが、人によっては複数のティーカップを交替でドリッパーを置いて淹れる人もいます。

f:id:suneo3476z_tn:20190528225424p:plain

ただし、豆の挽きが細かったり円錐型ドリッパーを使ったりするとコーヒーの落ちる早さが遅くなり、コーヒーを作り始めてから作り終えるまでに時間がかかってしまうことがあります。そのため、熱いコーヒーを好む人ならば中身の冷めにくいサーバーを使うのをおすすめしておきます

市販のサーバーは何人分という目盛りがついていることが多いので、自分はよく、まずサーバーで使う水の量を計ってから電気ポットでお湯を沸かしています。

 

3−d ポットとお湯の温度 

ハンドドリップに使うポットは一般的なポットよりもお湯の出口の先が細長くカーブしているのが特徴です。これは、お湯を注ぐ位置やお湯の量を精密に調節するためで、おいしく淹れるためにはとても重要です。

f:id:suneo3476z_tn:20190528225424p:plain

一般的な電気ケトルやヤカンは注ぎ口が広く短いためハンドドリップ向きではありません。できないことはありませんが苦労するので、おとなしくハンドドリップ用のポットを手に入れるのをおすすめします。

 × × ×ãããåã®é­æ³ç¶ã®ã¤ã©ã¹ã

 

始めのうちは気にしなくても構いませんが、淹れるのに慣れてきたらお湯の温度に気を配ってみましょう。90度〜の高温では鋭い味、80度〜では柔らかい味になります。日本茶に似ていますね。

温度計は、細長い金属をお湯に入れて計るアナログ式温度計がコーヒー器具として売られています。物によっては推奨温度が見て分かるデザインもあります。

温度を計るものがない場合は、一度沸騰したお湯をサーバーに移してからポットに戻すと90度くらいに冷めます。

 

4.ドリップ

4−a 蒸らす
4−b 淹れる
4−c ドリッパーの除去

※実際の写真などを用意していないので、Youtubeで適当に探した動画でズルします。

https://www.youtube.com/watch?v=_nyq-cY6ppI (5:02)

https://www.youtube.com/watch?v=u9i-zP1u_tw (3:23)

ここでは、それぞれの作業の意味に重点をおいて書きます。

 

4−a 蒸らす

最初に豆全体を湿らせるようにお湯を注ぎます。下からお湯が落ち始めたら注ぎすぎです。蒸らすことでコーヒーの香りを引き出します。だいたい20秒くらい蒸らして、その間は香りを楽しみましょう。新鮮な豆の場合はぷくっと膨らんで来るので、豆の鮮度を確認することもできます。

このときお湯が粉に染み込むので、必要なお湯の量は飲む分よりも少し多くなるのに注意してください。0.5杯分多いくらいでよいと思います。

 

4−b 淹れる

お湯を中央から注ぎ始め、「の」の字を書くように内側から外側、外側から内側へと注いで下さい。このとき端っこに注がないように注意します。こうすると端の方に(つつみ)ができますので、これを崩さない程度の勢いと量を保って注ぎます。

上から見るとどのくらいのお湯が注がれるのかは分かりませんが、少なくとも水浸しにならないよう適宜注ぐのを中断・再開します。だいたい4〜5回程度のサイクルです。

 

4−c ドリッパーの除去

サーバーの目盛りを見て目的の分量が入ったら、まだお湯が落ちきっていなくてもドリッパーを取り除いて空いているコップなどで受け止めて下さい。

お湯を注いでいる時に出てくる白い泡はいわゆる「アク」で雑味やエグみに相当するため、これを落とさないようにします。

つまり、お湯を注いでいる間はドリッパー内の湯量を一定以上に保つことが重要なのです。

 

5.コーヒーのお供

5−a 砂糖とコーヒーフレッシュ
5−b お菓子

 

5−a 砂糖とコーヒーフレッシュ

せっかく淹れたので、とりあえず何も淹れずに一口飲んでみてください。苦く感じたら砂糖を、口当たりがきついようであればコーヒーフレッシュを入れて調整しましょう。

正しい飲み方というものはありませんので、自分が美味しいと思う調整をすればよいと思います。嗜好品なのですから。

ただし、コーヒーの「酸味」や「苦味」、「コク」がどういうものかを知りたいのであれば、やはり一口目はブラックで口をつけておくのがよいです。繰り返し飲んで違いが分かるようになると、自分の好みを表現できるようになるからです。

ちなみにコーヒーフレッシュは植物性油脂で作られたクリームで、乳製品ではありません。もともとはコーヒーに入れるミルクの代替品として発明されたものなのです。

 

5−b お菓子

好きなものと一緒に召し上がって下さい。おすすめするなら、輸入雑貨店などには安価で量の多いお茶菓子向きのクッキーが売られているので、探してみるとよいでしょう。浜松なら佐鳴台にある「酒のやまや」か、小豆餅か富塚にある「業務スーパー」が思い当たります。

 

おわりに

締めらしい締めが思いつきませんが、完璧にやろうとすると永遠にやれないので、やれることからやっていくといいと思います。