- 作者: 野矢茂樹
- 出版社/メーカー: 産業図書
- 発売日: 2006/11
- メディア: 単行本
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演繹と推測の違い
どちらも、ある根拠から結論を導く。しかし、両者は使用目的が異なる。推測は、既知から未知を導く。演繹は、既知から既知を導く。未知が確定すれば既知になるが、その絶対性が保証できない限りは未知である。既知から未知を導く推測の方法のひとつに「仮説形成」がある。
仮説形成の構造
「Aなのは、Bだからだ」→AはBの仮説形成をする。「Bだから、Aのはずだ」→BはAを説明する。このとき、Aを「証拠」、Bを「仮説」と呼ぶことにする。
仮説Bが証拠Aを説明しきれないほど複雑な問題である場合、前提Cが存在している可能性がある。ただし、前提は明示的に語られない場合があり、それが誤った推測B→Aを導き出すかもしれない。前提Cを明示してみることで、正しい推測を導き出したり、新たな発見を生んだりすることもある。
仮説形成の適切さの評価
仮説Bは証拠Aを説明できているか。仮説形成の前提は明示的・暗黙的にしろ適切か。他に有力な仮説B’は考えられるか。これに加え、仮説Bを有力にするために他の仮説B'、B''…をいかに消去するか。