かすてらすねお。

見聞録的ななにか。

【感想】自分のための女装(アニメ『げんしけん二代目』)

原作漫画未読・アニメオリジナル展開のネタバレ注意。

この先1万光年。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波戸くんの女装の理由や動機に注目しながら観ていました。

ポイントとしては、波戸くんが誰のために女装するのかという点です。

 

矢島さんが荻上ハウスで波戸くんに女装をする理由を聞き出そうとする場面で、

吉武さんが「女装するのが楽しくなっちゃんたっスよ~」と推測します。

直後に波戸くんは自分を客観視できるようになったことを挙げていますが、

自己充足的な理由で女装をすることへの抵抗であるとも読み取れます。

 

そして最終回では斑目先輩が会社を辞めた直後から部室に来なくなった波戸くん

をなんとかする目的で合宿するアニメオリジナルの展開が来るわけですが、

集合場所の駅に来た時の波戸くんは男の姿で現れました。

波戸くんは女装で周囲に迷惑を掛けてしまったと負い目を感じているようです。

 

そして旅館では斑目先輩に、自分は女装をやめるべきかと尋ねると、

「やりたいならやればいいし、やりたくなければやめればいい」という

斑目先輩なりの趣味に対する考え方から波戸くんにアドバイスします。

 

冷静に考えれば、ゲームにしろマンガにしろ趣味は自分が楽しむために

やるもので、誰かのためにやる趣味はサービスになってしまいます。

斑目先輩のアドバイスは「女装することに迷っているのなら、

それはサービスではなく趣味のためだと考えることで、

自分の欲求に忠実に判断できるよ」という思考戦略として捉えられそうです。

メンバーが好きな趣味に興じている現視研らしい結論と言えるでしょう。

この現視研らしさが貫徹されていた二代目アニメはとても楽しめる作品でした。

 

軽井沢合宿は無かったことにはされず、荻上さんと波戸くんの会話の中で

回想という形で出てきます。原作漫画読了後としては、「あれ、抜けた?」

という気持ちになりましたが、波戸くんストーリーを破綻させないことを

意識したのであれば大変殊勝な仕事だと思います。

いずれOVAや回想回、もしくは変則的時系列で登場するのでしょうか。

 

一方で気になるのは、水島努監督が誰に感情移入できたか、

それが波戸くんならどうやって感情移入したのかという点です。

波戸くん中心のストーリー構成にするなら、波戸くんの気持ちの移り変わりに

何らかの同意というか納得が必要になってくるでしょうし、機械的、作業的な

物語の複製でそれが可能かどうかはちょっと疑問に思っています。

ボクがアニメSHIROBAKOの影響を受けすぎかもしれませんが。

これについてはまたインタビューなどを漁って調べてみようと思います。

 

ほんと「いい最終回だった」。

 

げんしけん二代目 (DVD-BOX)

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