ツイッターで大学の後輩たちが就活で大変そうにしているのを見て、そういえば何も記録らしい記録を残していなかったので、筆をとることにしました。とはいえ、何をしたのかだけを書いても何の参考にもならない気がします。やはりその中で何を考えていたのか、悩んでいたのか、会社に何を求めていたのか、私自身のことも含めて書いてみます。
私は男の肉体に生まれ、女性の性自認を持って生きてきました。その意識がはっきりとしたのは大学入学後で、いわゆるトランスジェンダーの女性ということになります。その後、大学院でトランスジェンダー当事者の調査研究を進めながら、将来的には自分のアイデンティティに沿って女性としての社会生活を実現したいと考えるようになりました。
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で、本題の就活です。じゃあ実際に自分の事を話して、果たしてきちんと理解してくれる採用担当がどれくらいいるのか? 面と向かって話して「こいつ何言ってんだ」的な怪訝な反応をされないと限らないのか? そこをクリアしたとして、実際の職場はどれくらい安全なのか? 不安なことが一杯あるわけですね。
これはもう今の会社で完全に実現していますが、女性としての社会生活を実現するために、将来的な戸籍名の変更を見据えながら通称名をビジネスネームとして使用すること、会社組織・社員コミュニティの中で女性社員として取り扱ってもらうこと、その一部として女性用トイレの使用を認めてもらうことを望んでいました。
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なぜそこまでできたのか?ですが、私のことをよく知る友人の女の子が勤務していたことが何より大きいと思います。実は入社1年前から半年間(2020年4月〜9月)ソフトウェア開発業務のアルバイトしていたんですが、それは彼女が誘ってくれたのがきっかけでした。地元浜松のIT中小企業です。
アルバイトするにあたって要望(この時点では女性としての取扱いと女性用トイレの使用)を一緒にまとめ、役員との面談で伝える際に同席してくれました。何も信用のない人間が一人でいるのと、身内と一緒にいるのとでは、要望の伝えやすさや安心感が全然違います。
あと、会社とのパイプ役になっていた人事担当の男性の方が、私の要望を丁寧に聞いて、気持ちよく働くことができるようにすることを考えてくださる方でした。特に、役員・上司の方には私の事情について把握してもらい、職場で何かトラブルがあっても守ってもらえるようにお願いしました。人事担当の方にはアルバイト開始から入社まで面倒を見て頂いて、大変お世話になりました。
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アルバイトしていた半年間は休学して、週4日フルタイムで働きました。ほぼ社員と同じ時間帯に同じオフィスで働いたので、「ここなら就職しても安全そうだ」ということが分かりました。変なことを言われないとか、変なで目で見られないとか、必要以上に人のことに踏み込んで来ないとか、まあそういう極めて常識的なことです。
それはそれとして名古屋で働いてみたいという気持ちもあったので、Wantedlyという就活マッチングアプリでIT企業3社に面談しに行って良い会社もあったのですが、研究活動で一杯一杯になったのもあり、その後アルバイト先に入社希望を伝えました。幸い私の業務が評価を得られていたのもあってか、無事内定を貰いました。
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「なんだ、ほぼ友人パワーと技術パワーじゃねえか!」という話なんですが、自身のジェンダーやセクシュアリティが絡むことで就活に悩む後輩へのアドバイスとしては、自分の「こうしたい」という要望を、自分の性のあり方と結びつけながら簡潔に説明して、人事担当に「これできますか?」と質問できるようにしておくと良いでしょう。
そんで、企業説明会みたいに1対1で話せる場所を活用してストレートに聞いちゃいましょう。採用担当者も優秀な人を取りたいという気持ちで来るので、基本的には就活生の話を真剣に聞いてくれるんじゃないかなと思います。自分は優秀だという顔をしていきましょう。
この質問に100%できますって答える人は恐らくいませんが、会社としてその要望を聞いて検討する体制があるかどうかを確認することは重要です。私も、ちょっとした要望を上に人へあげて検討してもらって、こういうことができます、できません、ときちんとフィードバックをもらえる環境に来られたので、もちろん全部叶うわけではないですが、良かったなと思っています。それができる会社は、職場を改善することに前向きな会社でもあるということなので。
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書いてないけど、入社した後も名前のこととか健康診断とか色々お願いしてお世話になってます。そんな私も入社2年目がもうすぐ終わろうとしています。
そんな感じでーす。