北野唯我『転職の思考法』を読了。
北野唯我『転職の思考法――このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む』(ダイヤモンド社、2018)
以下レビュー。
著者は、日本の会社では転職について話すことがタブー視されていることを疑問視し、転職を当たり前にすることで会社ひいては社会を良くすることを目指してこの本を書いたそうです。
この本を通じて成し遂げたいのはまさにこの「タブー」の破壊です。そしてこのタブーを破壊することは、働く人々だけではなく、組織や、社会にとってもポジティブな影響を与えると感じるのです。(「おわりに」pp.240-241)
この本が書かれたのは2018年で、2010年代の過労死問題を端緒とする働き方改革関連法の整備が終わる少し前でした。過渡期であった当時としては、正社員として他社に転職するか、転職せずに残るかという選択肢が支配的だったのでしょう。しかし、2025年の現在では、この選択肢は変化しているように思われます。例えば、古屋(2022)の『ゆるい職場』はその選択肢を企業に対して示しています。
古屋星斗『ゆるい職場――若者の不安の知られざる理由』(中央公論新社、2022年)
『転職の思考法』が提示するのが働き方改革関連法「以前」の選択肢なら、『ゆるい職場』が提示するのは働き方改革関連法「以降」に増えた選択肢です。簡単に言えば副業とか社内起業とかの話をしています。課題は、転職は本人が「思考法」を得ることでコントロールしやすいのに対して、副業や社内起業は会社制度と結びついているがために本人ではコントロールが難しいところです。そういう意味では、会社員が「転職の思考法」を身に着けておく価値は今でも十分大きいでしょう。