かすてらすねお。

見聞録的ななにか。

ロックと淫夢の公共圏、そしてガバ研

What's ガバ研?

一言でいうと

情報社会について広く議論する自主ゼミ

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FrontPage - ガバナンス研究会&吉田研

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告知

次回のガバ研は「バークレー留学2014報告 by 吉田寛(情報学部)」と題して、研究会形式で以下の日程で行います。お誘い合わせの上、お越しくださいませ。
時間:4/16(木)17:00-19:00
場所:静岡大学浜松キャンパス 高柳記念館
費用:無料
発表:吉田寛(情報学部) https://www.facebook.com/Philosjp
内容:留学の顛末、当地の生活、当地の大学、ガバナンスと哲学、その他バークレーで考えたこと、留学を考える
対象:バークレーに興味のある人、留学を考えている人、思想や社会研究の世界的動向に興味のある人、世界から見た日本文化に興味のある人

 

公共圏としてのガバナンス研究会

以下、本日のガバ研での議論と個人的に考えたことでもしたためます。

ガバ研の動向

ガバ研の部屋の管理責任者の先生が今年度に入って大学に戻ってこられたことで、メンバーがふらっと部屋に立ち寄ることができるようになりました。現在ゼミ生がいないために旧来メンバーのみではありますがほぼ毎日ガバ研で顔を合わせる状態になりました。現時点では院生3人学部生2人で計5人ですかね。

昨年度は先生が大学不在だった関係で、別の先生に顧問をお願いして週1で部屋を開けてもらったり図書館のフリーストークペースを利用したりしていました。毎週、前回から今回までの間に見聞きしたことや考えたことをメンバーで報告し合う形式をとっていて、お互いの興味や関心の共通点を知るのにはすごく良かったんじゃないかと思います。

ただ、週1だと物足りなかったのも事実で、現在は毎日誰かしらが話題を振って雑談がいつの間にか議論になっているのもそういうことなのかなとか思っています。毎日に学びがあってオーバードーズしてしまいそうな勢いです。何より先生の調子が一昨年と何ひとつ変わらずむしろ勢いが増しているくらいで、そうするとみんなも元気をもらうわけですね。あんな感じで人に話し掛けられる人にならなくちゃなと、院生の抱負をここで語るわけですが。

公共圏とロック

それで、今日話題にしていたのはタイトルにもあるようにガバナンス研究会が公共圏的な役割を持つことについてです。公共圏とは誰にでも開かれている理想的な空間を指す言葉で、場所的な具体性を持たせると公共空間という言い方にもなりますし、人々が意見を交わし合えるような議論に相応しい空間であるとも言えます。ガバナンス研究会の部屋もそういう空間を目指しています。好きな時間に立ち寄ってお茶を飲みながら好きな人と議論できるので、ガバナンス研究会はひとつの公共圏と言えそうです。

話は飛んで2日前、ロックに詳しいメンバーが音楽が社会に影響を与える例として1960年代のカウンターカルチャーの象徴である「ウッドストック・フェスティバル」を紹介してくれました。三日間にわたって演奏が続けられるなか、ハイカルチャーと一緒になりたくない人々が集まってセックス&ドラッグに明け暮れているイメージだそうです。このロック・フェスやもっと抽象的にはロックという音楽が人々の思いを受け入れる場になっていて、ある種の公共圏が醸成されているんじゃないかという話をしてくれました。

公共圏と淫夢

それで今日、別のメンバーと淫夢民が話題になりました。ゲイビデオというコンテンツをネタ化してゲイに寛容であるかのような態度が問題視される一方で、ニコニコ動画の「ホモと学ぶシリーズ」「ホモと見るシリーズ」タグのついた動画を中心に共有される社会的・教養的な動画コンテンツのなかでは(もちろん著作権的な問題もありますが)、彼らのなかで共有される淫夢語録という語彙を用いながら内容についてどちらかといえば真剣に語る大変シュールな光景が観察されます。

そんな高尚なもんじゃないといえばそうなんでしょうけど、ロックもファ○クにセックスでヤクをキメる反社会的な歌詞や思想ですから、ロックと淫夢には近いものを感じるのは確かだと思います。手元で記事を見つけられなかったので紹介できないんですけど(情報提供求む)、ある記事ではかつてのガチムチパンツレスリングや今の淫夢ニコニコ動画に発生したカウンター的コンテンツだと分析していました。

淫夢語録によって高度に棲み分けを生じさせてそのなかで何かを見つめなければ、社会や教養について真摯に観察できなくなってしまっている。がしかし、それは一つの問題意識を共有して言葉を交わす公共圏を醸成しているのではないか。係るコンテンツには著作権や性愛に関する様々な問題が付属していますが、「ホモと学ぶ・見るシリーズ」には今日のネット上での公共圏の在り方について重要な示唆を与えているように感じられます。

公共圏とネットの言論空間

ある問題について公共的に話しあったり語り合ったりする場所は、ネット上にだいぶできてきたんじゃないかと思います。掲示板やチャットの時代からFacebookTwitter、またモダンなブログポータルの時代への変遷は、ネットにおけるアイデンティティの確保方法の変遷でもあります。現在はリアルと結びつくにしろ結びつかないにしろ一人の人間の存在を匂わせながら発言することができます。その意味で誰でも現実と同じような議論の場をネットに確保することが容易になってきたと言えます。

しかし、現実のネットのコミュニティはサービスやフォロー関係によって細分化されています。ネットの技術はみんなをひとつにまとめたのではなくリアルそのままを再現したに過ぎなかったのです。実際に毎日のようにどこかのコミュニティや界隈の間でディスコミュニケーションが発生して炎上に発展することもあります。まして発言しないサイレント・マジョリティや、そもそもネットを見ない人々の言論を無視してしまうことになります。

結果論的な言い方をしますが、淫夢は求められるべくして求められた一つの言論空間としてのネット上の公共圏だったのではないでしょうか。もはや高度体系化された語彙によってコミュニティを囲わなければ誰も同じラインに立てられない。淫夢語録に感化されたマナーを守らないユーザはホモガキ(意味はリンク参照)としては積極的に排除される。淫夢はネット空間で皮肉的に成立した公共圏なのではないでしょうか。

まとめ―公共圏とガバ研

結局ですよ、ネットに頼って言論が育つなんて美味しい話はないので、ネットはリアルで会えない有名人や知人とか名前の知らない誰かの知見を得るツールにしておいて、リアルで草の根的に社会や教養について話す公共圏をきちんと確保していくことが大事なんじゃないかと思うんです。ガバ研に期待するのはそういう役割だと思っています。ガバ研でなくてもそういう話のできるコミュニティが日常生活のなかで自然に醸成できてそれが集合的に地域問題や社会問題を実際に解決できていれば話は別なのですが、現実そこまで上手く行かないので地道な啓蒙と努力は欠かせないのだろうなぁといった感想でシメにしたいと思います。

再告知

次回のガバ研は「バークレー留学2014報告 by 吉田寛(情報学部)」と題して、研究会形式で以下の日程で行います。お誘い合わせの上、お越しくださいませ。
時間:4/16(木)17:00-19:00
場所:静岡大学浜松キャンパス 高柳記念館
費用:無料
発表:吉田寛(情報学部) https://www.facebook.com/Philosjp
内容:留学の顛末、当地の生活、当地の大学、ガバナンスと哲学、その他バークレーで考えたこと、留学を考える
対象:バークレーに興味のある人、留学を考えている人、思想や社会研究の世界的動向に興味のある人、世界から見た日本文化に興味のある人