テキスト起こしをするに至った経緯
先月の 2024年 6月 10日に「はままつレインボープライド 2024」というイベントが浜松で行われました。 私はそこで当日ボランティア活動をしていました。
ところが、ある私の友人が同イベントに来場した際に、実施されたアンケート企画に遭遇してひどく傷ついたと、その夜に教えてくれました。
これを聞いて深刻だと思った私は、帰宅後に実行委員宛にアンケート企画の問題点を指摘する文書を作成して実行委員宛に送りました。
それを受けてかは分からないのですが、翌昼、公式ホームページと Instagram に、お詫びが掲載されました。
そのお詫びは、Word か何かで書かれたと見られるテキストエディタの編集画面とみられるスクリーンショット画像の形式で投稿されていました。
www.instagram.com
これを見て私は疑問に思いました。
私の職業はソフトウェアエンジニアで、Web アクセシビリティに関心があります。
テキスト情報をスクリーンショット画像で代用するのは、Web アクセシビリティに照らして以下のような問題点があります。
- スクリーンリーダー対応の欠如:画像形式の文書は、スクリーンリーダーで読み上げることができません。視覚障害のあるユーザーが内容を理解できない可能性が高くなります。
- テキスト検索不可:画像内のテキストは検索エンジンで検索できません。また、ユーザーがブラウザ内で特定の単語や情報を探すことも困難です。
- 文字サイズの調整不可:ユーザーが文字サイズを変更して読みやすくすることができません。これは、視力の弱い人々にとって特に問題となります。
- 代替テキストの欠如:画像に適切な代替テキスト ( alt 属性) が提供されていない可能性が高く、スクリーンリーダーユーザーに内容が伝わりません。
- 言語指定の困難:テキストが画像化されているため、適切な言語指定ができず、スクリーンリーダーが正しく読み上げられない可能性があります。
- モバイル対応の問題:画像形式のため、モバイル端末での表示が適切にレスポンシブ対応されない可能性があります。
これらの問題を解決するには、HTML テキストとして情報を提供し、適切なマークアップを使用することが望ましいです。
一方、お詫びには「我々はHRPを通して、まずは浜松が「性の多様性が当たり前」で、全てのひとの人権が尊重される、誰もが生きやすい会になることを目指している」と明記しています。
このままでは視覚に障害を持つ人の情報アクセスが確保されておらず、上の目標を掲げる団体として問題だと考えました。
そこで私は 6月 28日、上の内容そのままではありませんが Web アクセシビリティに関する説明を添えて、テキスト情報として掲載するように申し入れる連絡を、事項委員会宛に送りました。
そして、7月 8日 に「はい」でも「いいえ」でもない丁寧な次の返事を頂きました。
アクセシビリティはSNSで情報を取り扱う以上、欠かすことのできない視点で、HRPとして課題視している一つです。
情報の置き場についても、UXの視点は最重要だという考えのもと、今まさに最優先事項としてサイトの構造や情報取得までの流れを再構築中です。
そして、**さんからいただいた懸念事項はどれも大事なポイントで、リスク管理の観点からしても参考になる点ばかりで、感謝しています。
ただ、他からもいろんな声を多くいただいていますので(個人情報保護の観点から詳細はお伝えできませんがご理解ください)、配慮すべきポイントを最大限に踏まえ、HRPとして果たすべき役割を整理しつつ、その手段はあらゆる視点を考慮して、慎重に決定していることをご理解いただきたいです。
しょうがないので、テキスト情報を文字起こしすることにしました。
ブログの本文は以上で、残りはテキスト起こしです。
そのままでは読みにくいので、テキストはそのままにして markdown で整えています。
はままつレインボープライド2024会場内で行われた企画についてのお詫び
2024年6月10日 はままつレインボープライド実行委員一同
2024年6月9日に我々が開催した「はままつレインボープライド(以下:HRP)2024」にて実施した「Your Sexuality?」(以下:本企画)により、一部のご来場者様にご不快な思いを抱かせたことについて、心よりお詫び申し上げます。
また、我々はHRPを通して、まずは浜松が「性の多様性が当たり前」で、全てのひとの人権が尊重される、誰もが生きやすい会になることを目指しているにも関わらず、本企画によって、一部のご来場者様の心を八レードに参加が出来なくなるほど傷つけてしまい、「HRPは安心できる場所ではない」と感じさせてしまったことについて、重ねてお詫び申し上げます。
記
【本企画の内容】
名称:Your Sexuality?
目的:
「性自認」という概念について考えるきっかけづくり:
目に見えない、またシスジェンダーの方やヘテロセクシュアルな世界で生きる方々にとっては考えるきっかけがあまり無いかもしれない「性自認」について、自身のものはもとより、他者の性自認を考えるきっかけとすることを狙いました。セクシャルマイノリティ当事者以外の方々も多く集まるレインボープライドという場であったからこそ、普段考えることのない概念について考えてみていただく良い機会であると考えました。
「性はグラデーション」の可視化:
最近よく耳にする「性はグラデーション」という言葉の可視化を狙いました。性自認や性別表現が話題になる今だからこそ、この言葉だけが一人歩きしているわけではなく、性自認にはグラデーションがあるということを示したいと考えました。
「unconscious bias(無意識の偏見)」の可視化:
例えば「ランドセルが『男の子は黒、女の子は赤』のように、もと性別の間にある無意識の偏見の可視化を狙いました。「男性が青やピンクが好きだったり、女性が青や黒が好きだったりしても不思議じゃない」ということを、つまり、別紙 図2の上の矢印に赤シール、下の矢印に青シールが集中するのか、或いはバラけるのかという形で可視化することを狙いました。
実施方法:
- お好きな方のあるシールを手に取っていただく(別紙 図1)。
- ボード(別紙 図2)をお見せする。その日の性認識がどの辺りに位置するかを心の中で決めていただく。
- 貼りたい場所が決まったことを確認し、ボード(別紙 図3)を見せる。
- 決めていた場所に貼っていただく。 (担当者は、貼るところは見ず、周囲からも見えないように立ち位置を入れ替えたり体を屈したりなどする。)
- 企画の目的を説明する。
【原因】
本件は、以下の理由で発生したと考えております。また、全ての責任はご担当いただいたボランティアの方ではなく、実行委員一同にあることを明言いたします。
実行委員ではなくボランティアの方に対応させてしまったため
極めて繊細かつ重要な個人情報を扱う企画であるにも関わらず、ボランティアの方に対応させてしまいました。
ボランティアの方への説明が不十分であったため
特に、個人情報の秘匿性の重要さを伝えきれておらず、秘密性が守られなかった際の回答者への精神的負担についてボランティアの方に十分に理解していただけていなかったために、積極的に活動してくださったボランティアの方々と、回答したくないご来場者様の双方に、大変申し訳なく思っております。
参加者の秘匿性や心理的安全性よりも、実現可能性を優先して企画を具体化したため
実行委員一同で企画を検討していた際に、本件のような事態が起こりうることは予見していました。そのため、回答者にQRコードを読み取っていただいてご自身のデバイスや、専用のアプリやマクロを作成して回答いただくことも検討しておりましたが、納期や技術的ハードルを考慮し、実現可能性を優先し、ご覧いただく際(丸シールを貼る際)には体で隠れないようにするというアナログな手法で秘匿性を確保する方式を採用してしまいました。その結果、常に他者の回答が見える状態であったり、一度していただいた回答が見える状態となっていたりしたため、ご来場者の方の秘密性や心理的安全性が確保できておりませんでした。
グラデーションであったとしても、性自認を特定したくない方の想定が出来ていなかったため
我々の不勉強によるものです。グラデーション以前の問題で、ある一日の話であったとしても、そもそも性自認を特定したくないという方々への配慮が欠けておりました。回答を拒否しやすいオプションを作ることも検討できていませんでした。
【今後の対応】
関係者の皆様からの信頼回復に向け、以下のように対応させていただきます。
- 本文書をホームページ及び各種SNS(X、Instagram)にて公開する(掲示期限:2024年6月30日)。
- ボランティアの方々に、本件の経緯及び本企画の趣旨を説明する。
- 今後、性自認などの個人情報を扱う企画を実施する際には、参加者の秘匿性及び心理的安全性を最重要事項として検討する。もし参加者の秘匿性及び心理的安全性が十分に確保できない場合には、企画は実施しない。
- 他団体の協力を仰ぐなどして、今まで以上に性の多様性について学習する。
今後はこのような事が二度と起こらぬよう、実行委員一同改めて十二分に注意を払い、全ての方が安心して参加できるHRPを作り上げてまいりますので、今回の件については何卒ご容赦くださいますよう、お願い申し上げます。
【お問合せ先】
- X: @Hamamatsu_HRP
- Instagram: @hamamatsu.hrp
以上