かすてらすねお。

見聞録的ななにか。

「戦場のメリークリスマス」を観た

現代でこそ殴ったり蹴ったりするだけでも非常識なことだけど、戦メリの人々にとって身体は傷つけても減らないものだからこそカジュアルに暴行を加えるのだろうね。かれらにとって身体はいくら傷つけてもどうせ治癒するものという前提が共有されているように見える。

あるいは、身体的な苦しみを経験させることがある種の贖罪のためのコスト、対価とみなすこともできるだろう。切腹はその究極形と捉えられる。

一方で、かれらの内面はガラスのように脆い。なので、舐めるような口を効いた人物は内面に気安く触れた者として暴行が加えられる。当時の日本人男性のセクシュアリティ的タブーに触れるのも同様。英国式のキスがどうしたと思われるかもしれないが、日本人にとっては内面の問題なのだろう。

注意が必要なのは、それがヨノイ大尉の本人の気持ちとあくまで別の問題ということである。彼が失神したのは大尉としての自分、日本人男性アイデンティティを持った自分が毀損されたこと、そしてそれ以上に、それらの自分とセリアズに特別な感情を持った自分との整理が追いつかなくなってしまったことが理由として挙げられるだろう。

坂本龍一はいつ出てくるんだろうと思ったら最後までヨノイ大尉が坂本龍一だと分からなかった。あんな凛々しかったらそら人気出るわな。