かすてらすねお。

見聞録的ななにか。

女の子の「かわいい」に対抗する。

女の子の「かわいい」に対抗する。

女の子と町で歩いているとしよう。あるファンシーショップのショーケースにポップな装飾のされた帽子がある。女の子は指をさして「見て、かわいい」と言う。

きっと女の子はボクに何かしらのアクションを求めている。それは「かわいい」から始まる何かしらの会話である。果たして会話を成立させる事が大切なのか、その場において成立させる事こそに意味のある会話を行うのが大切なのか、ボクには分からない。

アクションには何らかのレスポンスを返す必要がある。選択肢として、「かわいいね」と同意する、或いは「えー、かわいいのこれー?」と主張を行うなどが考えられる。しかし、ボクは選択を行いたくない。会話を行うことも、会話にコミットすることすらも、行いたくない。ならば、黙るという選択肢がある。

ボクは黙って帽子に注目した。帽子のかわいさについて真剣に考えることにした。配色、装飾、材質、ありとあらゆる帽子についてのプロパティを抜き出し、プロパティが適用されうるメタなシチュエーション、つまり帽子を実際にかぶったり、飾ったりするという状況下における帽子の「かがやきかた」について考えた。

10秒ほどが過ぎて、女の子がこちらの顔を見てくる。それでいい。会話を折った。ボクの勝ちだ。「かわいい」に肯定も否定もしない。引き込んだボクの勝ちだ。