かすてらすねお。

見聞録的ななにか。

ユーザビリティと評価手順に関するまとめ。

メンタルモデル

 どんなに開発者がユーザの行動を見据えた機能やデザインを作ったとしても、100人のユーザ全員と意図が合致するとは限らない。ユーザがアプリにわずかでも不便や違和感を感じた時、開発者とユーザの間にはアプリに対して抱くイメージ(メンタルモデルと呼ばれる)に食い違いが発生している事になる。ユーザはアプリのインタフェースを通じてイメージを頭の中に組み上げるわけだが、特に使いやすいデザインとはより良いメンタルモデルの提供、可視化、そしてより良いアフォーダンスの提供が原則とされている。

某演習を一回欠席したので復習を兼ねて用語の再確認と発見についてまとめてみた。

アフォーダンス

 良いアフォーダンスとは何か。これは人為的に造り出すものではなく、むしろ人間とモノの間に自然に発見される関係や都合のようなものである。獣道は人が歩く事をアフォードしている。綺麗な切り株は人が腰掛ける事をアフォードしている。アフォーダンスの原義としては、このように自然に発見されるという意味合いに注目するのが良いだろう。ユーザビリティの設計とは、このようなアフォーダンスの設計……いや構築……違う、構成をするのが仕事のひとつであると言えるだろう。

アフォーダンスの誤解

 モノに無理やりアフォーダンスを付け加えたところで、人間が気付いてくれない事だってあるし、却ってデザインを汚す場合もある。引き戸に「→」のシールが貼ってあったり、サービスエリアのトイレの洗浄ボタンに「流す」のシールが貼ってあったりするだろう?

インスペクション

 あるアプリを渡されてそのユーザビリティを調べる事になったので、アプリの良い点悪い点を隅々まで調べるインスペクション(精査・点検)を行う。とりあえず不便だとか違和感があるとか思った部分を挙げれば良い。なぜなら、低いユーザビリティの原因は開発者とユーザのメンタルモデルの差であり、「使いづらい」機能はまさにその表出であるからだ。

シナリオ

 「使いづらい」機能を挙げて報告したところで、どのような目的や状況の元で不便だったのかが分からないと、機能の改悪に繋がるかもしれない。機能が何かを満足させることは、ユーザの目的の下位目標に過ぎない。したがって、あるストーリーにおいてユーザが機能をどのように使用してどのような不便が起きたのかを想定するシナリオを現実的かつ具体的に考える事が必要である。それはもう一人の人間の事例でもいいだろう。

ペルソナ

 原義の「仮面」から「付け替えできる」という意味が生まれてくる。シナリオを考える上で、私たちは個人から遊離してユーザのペルソナを被り、シナリオを具体化していく必要がある。

三人のノートとシナリオ

 *ここは身内向けの文章

 Tさんはユーザ像を具体的にさせたが、ユーザの行動を「特徴」としてまとめたために具体的な状況に接近できなかった。Iさんは機能評価とユーザの行動それぞれの分析はできていたが、ユーザと機能の関係性をストーリーで結び付けなかった。一方、Sさんは時系列でユーザの行動と機能の使い方を記述したために、シチュエーションを意識できていた。

 以上の三人のノートに関する記述は、これに対する教員のコメントから教員の意図を想像したものである。ここから、授業側の言わんとする「シナリオ」というものが浮かび上がってくる。

まとめ

アプリの不便を論理的かつ明確に説明するためには、インスペクション+ユーザのシナリオ想定+シミュレーションの手順を踏むのが有効と考えられる。