この記事はキング・オブ・トーキョーを知っている人向けです。
キング・オブ・トーキョーの醍醐味は豊富なカードだと思います。プレイヤーに効果の解釈の余地を残した説明文は、まるでマジック・ザ・ギャザリングを彷彿とさせます*1。カードの説明文を上手に解釈して活用することは、ゲームを単調な殴り合いに終始することを防ぎ、豊かなものにするでしょう。この記事では、カード「陰の住人」「子供の友達」を例に、その奥深さを説明してみたいと思います。
凡例
🐾…攻撃 ♥…回復 ⚡…エネルギー
(4)「陰の住人」(保持)「君は常に [3] をふりなおせる」
まず、この [3] はどのプレイヤーがふった [3] であるか記述されていません。つまり、自分のふった [3] でも、誰かがふった [3] でもふりなおせることになります。したがって、誰かが [3][3][3] で結果を確定させた直後に、この [3][3][3] をまるごとふりなおしてもよいのです。しかも、「常に」ふりなおせるので、[3] が出ている限りは何回でもいかなるタイミングでも「ふりなおせ」ます*2。また「ふりなおせる」とあるので、ふりなおす権利があるのであり、義務ではありません。
これは、相手がダイスロールでふりなおすダイス選択に対して強い牽制効果があります。もし相手がダイスを任意の結果に変更できる(3)「伸縮自在」(保持)のようなカードを持っていない限り、[1][2][3][🐾][♥][⚡]の目で★9を獲得する(3)「完全破壊」(保持)といった [3] の出目が効果に影響するカードを無意味化します。
(3)子供の友達(保持)「君が任意の ⚡ を得るとき、1加えた数の ⚡ を得る」
たとえばダイスロールで [⚡] が1個出たら ⚡ 2、2個出たら ⚡ 3獲得できるわけです。少なくとも1個の [⚡] を出せば ⚡ 1個分得ができるので、ダイスロールにおいてふりなおさないダイスを選択するとき、少なくとも1個の [⚡] を残せばよいという判断が出来るようになり、迷う要素が減ります。
ここで着目すべきなのは、⚡ を得る手段がダイスロールに限定されていない点です。たとえば、(2)「太陽エネルギー」(保持)は自分のターン終了時に所持している ⚡ が0個の場合、⚡ 1を獲得できる効果がありますが、「子供の友達」を持っていれば ⚡ 2が得られるというわけです。カード購入コストをマイナス1する(3)「奇妙な成長」(保持)があれば当分エネルギーには困らないでしょうし、カード購入のたびに★1を得る(3)「特番報道チーム」(保持)も持っておきたいものです。
また、「得る」の意味をよく考えるためには(2)「モンスター電池」(保持)の効果ついて考えるべきです*3。「モンスター電池」とは、カード購入時に所持 ⚡ から任意の数の ⚡ を分離し、そこに同じ個数の ⚡ を加え、自分のターン開始時に ⚡ 2ずつ所持 ⚡ に「加える」というものです。つまり預金すると将来的にその倍額が手元に入るというわけです。問題は、所持 ⚡ と分離した概念上の場から「加える」というのが、「子供の友達」における「得る」に相当するかどうかです。もし、「子供の友達」におけるを「得る」を、所持 ⚡ の増分の発生で考えるなら、「子供の友達」を持っている場合、自分のターン開始時に ⚡ 3 が所持 ⚡ に入ってくることになります。
筆者は、コンボにより強力になるとはいえ、⚡ を加えるターンは有限であること、総量として多くなるとはいえカード購入に使用可能な数は所持 ⚡ の数に過ぎないことを踏まえると、「モンスター電池」をより強力にアシストするものとして「子供の友達」コンボを認めるのが好ましいように思います。このようなコンボを認めるかどうかはレギュレーションとしてゲーム前にプレイヤー同士で相談して決めておくと、プレイングの選択に過度な影響を与えずに済むでしょう。
このように見ると、「キング・オブ・トーキョー」はカードデッキをプレイヤー同士で奪い合い、より戦略的なプレイングを楽しむゲームとして考えることができます。カード効果に関するアイデアを話し合ってゲームに反映させることもまた、ゲームの楽しみに数えられると思います。カードが「キング・オブ・トーキョー」の全てではありませんが、よりゲームを楽しくするヒントになればと思います。
なんかAmazon見たら色んなエキスパンションが出てるんですね。。。 上記の説明は以下の日本語版の基本セットを念頭に書きました。

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